アイン・ランドの資本主義観を理解するために『肩をすくめるアトラス』と『海賊とよばれた男』を比較する
URI | http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/fcu/metadata/12113 | ||||||
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File |
toshi10_04fujimori.pdf
( 661.0 KB )
Open Date
:2018-04-29
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Title |
アイン・ランドの資本主義観を理解するために『肩をすくめるアトラス』と『海賊とよばれた男』を比較する
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Title Alternative |
Ayn Rand and Capitalism
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Author |
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Subject |
資本主義の精神
リバータリアニズム
共同体
機能集団
個人主義
spirits of capitalism
capitalism as morality
individualism
libertarianism
laissez-faire capitalism
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Abstract |
アメリカの国民作家・思想家のアイン・ランド(Ayn Rand)の思想は毀誉褒貶が激しく,特にその徹底した合理主義(rationalism)は,日本人読者にとって敬遠されやすい.ところが,実は,アイン・ランドの思想の核となる彼女の資本主義観は,日本人にとって意外に理解しやすく共感を得やすい.それは,百田尚樹の『海賊とよばれた男』という経済歴史小説と,ランドの代表作の『肩をすくめるアトラス』を比較するとわかることである.これら二作品は,どちらも「資本主義の精神」を祝福し,どちらもリバータリアニズムの立場にある.マックス・ヴェーバーが論じたように,資本主義の精神を構成するのは,「労働が宗教的救済となること」と「目的合理的な経営」と「利潤の正当化」である.山本七平が発見したように,その資本主義の精神は江戸期の日本にも生まれていた.だからこその明治以降の日本の近代化が可能であった.ランドの資本主義観は,一見奇異に見えて,ヴェーバーが論じた資本主義の精神の世俗化した形である.この文脈で,ランドの説く道徳としての資本主義は,日本人にとって理解しやすいものである.ただし,ランドが「いまだ実現していない理想」として説く資本主義の精神においては,日本的資本主義に見られるように,企業という機能集団は,共同体と未分化ではない.日本人がランドの資本主義から学べることは,個人を共同体に溶解させることによって機能集団を機能不全にすることを抑止する個人主義である.個人の尊厳である. Ayn Rand's defense of capitalism has infuriated anti-capitalists, including many American intellectuals. In popular usage in the context of literary criticism, the word "capitalism"is a synonym of evil. In such an anti-capitalist American intellectual milieu, Ayn Rand dared to refuse to renounce the concept of capitalism. |
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Journal Title |
都市経営 : 福山市立大学都市経営学部紀要 = Urban Management : Bulletin of the Faculty of Urban Management, Fukuyama City University
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Volume |
10
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Spage |
35
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Epage |
52
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Published Date |
2018-02-28
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Publisher |
福山市立大学都市経営学部
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ISSN |
2186-862x
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NCID |
AA12564315
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Self DOI | |||||||
Language |
jpn
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NIIType |
Departmental Bulletin Paper
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Text Version |
出版社版
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Set |
fcu
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