数年前から日本への外国人観光客の増加が、日本の社会経済に様々な影響を及ぼしている。「観光立国」を掲げ、「観光」を経済成長の主要戦略として推進している日本政府にとって、大変望ましい現象である。中でも特に、訪日中国人観光客の急増と訪日時に行う大量の買い物は、「爆買い」という新しい言葉を生み出すほど、日本経済に大きな影響を与えている。また、社会の様々な部門でその恩恵を享受しようとする動きもある。このように、日本への外国人観光客の増加、特に、今後も中国人観光客の増加と爆買いによる経済効果が大きく期待されているが、外国人観光客の消費動向の変化によっては急激な減少もあり得る。したがって、「爆買い」による経済効果は一時的なものに過ぎないと考えられ、今後、新たな対策が必要となる。
　本稿では、特に、現在も外国人観光客の急増による経済効果が十分に得られていない地方都市に焦点を当て、地方へのより効果的な外国人観光客の誘致政策と、次世代まで活かすことのできる新しい魅力的な観光コンテンツの開発・創造について、訪日外国人観光客の消費動向と現地調査を基に、以下のような提案を行った。①すでに各地域に賦存する観光資源を外国人にとってより魅力的に感じられるように戦略的に整備し、効果的にアピールすべきである。②各地域の潜在的観光資源を活かし、外国人観光客が持っている日本に対するイメージを満足させる新しい観光コンテンツを創造する。③上記のような誘致政策を組織的、持続的に企画・管理する専門機関を設置する。