緊急帝王切開術を受けた母親の心理と看護援助の方向性

URI http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/hbg/metadata/767
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タイトル
緊急帝王切開術を受けた母親の心理と看護援助の方向性
著者
氏名 中間 みちよ
ヨミ ナカマ ミチヨ
別名
氏名 山内 京子
ヨミ ヤマウチ キョウコ
別名
キーワード
産褥期
緊急帝王切開術
心理的受容
抄録

【研究目的】近年,帝王切開術の安全性が向上し,更に少子化に伴い帝王切開術を受ける産婦は増加傾向にある。一方,帝王切開術を受ける産婦の精神的反応には肯定的感情と否定的感情が混在する。そこで,今回帝王切開術の中でも緊急帝王切開術を受けるという特殊な状況下にある産婦に焦点をあて看護援助の方向性をさぐることを目的に事例研究を行った。
【研究方法】事例研究:平成13年4月~平成14年12月の間にA院に入院,緊急帝王切開術を受けることになった産婦に対し,本研究の主旨を説明し,協力が得られた場合,逐語録を整理・分析した。
【研究結果】事例ABC は3名とも20歳代でCPD や分娩停止,胎児仮死という状況から緊急帝王切開術にのぞむ際には,その事態を理解し,納得して受け入れることができている一方,前記3名の中でもその思いは一様でなく,産後の経過の中で突然否定的な発言がみられたり(事例A),同じ経験を持つ褥婦と体験談を共有することで,帝王切開術に対する思いを整理できている(事例C)。一方,事例D は30歳代で経産婦とその他3名とは異なる経験知をもっており,特に前回緊急帝王切開術後のせん妄状態による外傷体験は今回の妊娠期間中にも影響を及ぼしており,妊娠期間中からの特殊なフォローを要した。帝王切開術からくる否定的感情に対する支援として,その程度に応じての体験の言語化,体験者間の横の繋がり(体験共有化)や,長期的視点での妊娠期間からの個別的な関わりを含めてのきめ細かな援助が必要となる。
【結論】緊急帝王切開術を受けるという特殊な状況下にある産婦に対する看護援助の方向性として,産婦の持つ経験知とおかれている状況に対する認知,更にどの様な状況下にあっても本人が抱いている気持ちを言語化できる環境を準備しておくことの重要性が明らかとなった。

掲載雑誌名
看護学統合研究
8
2
開始ページ
30
終了ページ
33
出版年月日
2007-03-20
出版者
呉大学看護学部
ISSN
13460692
本文言語
日本語
資料タイプ
紀要論文
著者版フラグ
旧URI
区分
hbg