成人看護学領域において臨地実習で修得した看護技術の実態調査を行い，学内での看護技術教育のあり方と，臨地実習における技術教育の在り方に対して実質的な検討を行った結果，学生の経験した技術項目は少ないことが分かった。これは臨地実習で受け持ち患者を通して学ぶ看護技術のレベルと，教員側と学生側の“経験した”と認識している項目の内容に差がある，現状の受け持ち患者を通しての実習には技術力の向上よりは思考能力の育成に主眼がおかれていることから考えると看護学生が臨地実習で学べることには限界がある。これらから，技術項目に関する学生の正確な知識を喚起する必要があり，個別にあった指導のための基礎資料が必要であることと，技術修得は何度も同じ技術を繰り返すことによってなされることから考えれば，現在の受け持ちを通して学ぶ学習方法に改善を加えるかあるいは各領域ごとの卒業時到達目標の設定と調整が必要であるとの示唆を得た。