本稿では，マレーシア・クアラルンプールにおける海外子女（特に，就学前幼児）の発達面での特別なニーズへの支援の必要性について報告することを目的とした。その方法として，各種団体が公表している調査報告書と海外子女の支援をテーマにした先行研究の知見とを整理する。これと併せて，現地のネットワークを通じて得た情報も貴重なデータとして用いる。
　これらのデータより，発達面で特別なニーズをもつ子女家庭にとって，現地で利用可能な支援機関へのアクセス，また幼児教育機関における特別支援の現状に安心できる状況ではないこと。現地のみならず帰国後の生活も視野に入れた支援が必要であることが浮かび上がってきた。このことから，帰国後の豊かな生活にもつながる現地での支援をどのように保障していくのかを検討することが課題だと考えられた。